福井市でチューブテックス工法を施工実演
圧力管更生工法協会が推進するチューブテックスR工法(自立強度型更生工法)の反転工法実演会を6月9日、協会会員でも東洋地工(福井市中藤新保町)に福井市、越前市、坂井市のご担当者と施工会社の方々をお招きして行いました。敷地内に摸擬管路を布設しての施工実演です。既設管に見立てたボイド管の内径は300mm、長さ14m。老朽管路の内面清掃は終っているとの想定です。反転機、自走式現場含浸機、ボイラー車も既に待機。
まずは14mプラスα(作業分のノビしろ)に切ったライナー材の両端を閉じ、現在は外側、反転挿入後は内面となるポリエチレン被覆層の気密性によりライナー内部の空気を抜きます。この工程はライナー材内部を真空に近づけることでエポキシ樹脂の均一な含浸を促進するためです。チューブテックスR工法のライナー材は、ポリエチレンの内面被覆層、含浸フェルト層、ガラス繊維強化マットの外面補強層の3層からなっています。その中間のフェルト層に現場でエポキシ樹脂を含浸させ、熱硬化することでライナー材の3層とエポキシ樹脂が一体化。管路全体が耐震性がある強固な管路となり、非開削で施工できるとあって水道の基幹管路、農業灌漑、工業用水の布設替促進とコスト縮減に役立つと期待値上昇中なのです。
空気抜きの傍らエポキシ樹脂を混合、攪拌。半導体や3Dプリンターでお馴染の樹脂ですが、チューブテックス工法オリジナルは透明感のあるワインレッド。水の安心安全を守るにふさわしい優しい色をしています。
気泡が生じないように攪拌したエポキシ樹脂をライナー材に流し込んだところで現場含浸機の出番。何度か往復させて中間のフェルト層に含浸させます。
満遍なく含浸させて反転挿入の準備。ライナー材の到達部から反転機内に巻き取ります。
現場施工分を巻き取ったあと、ライナー材の先端(プラスα分)を反転機の内側から引き出し、ポリエチレンの内面被覆層を表にして圧縮空気の吹き出し口の外側に固定します。ここが反転の肝。反転工法と呼ばれる所以です。次の工程がプリライナー。既設管洗浄で取りきれなかった砂や汚れに備えてライナー材と既設管の間に筒状のポリエチレンシートを空気圧で挿入するものです。
次に、いよいよ反転挿入。反転機内部の空気圧が高まり端部からライナー材が現れる様は、さながら裏返したジェット風船が膨らむかのようです。実施工の現場では立孔を設けるのが一般的です。
いよいよ既設管に。ライナーに被せた青線入りの筒状シートは紙ダクトが空気圧に耐えきれなかった場合に備えて飛散防止するための"安全ジャケット"です。
ライナー材が到達したところでボイラー車が蒸気加熱。ライナー材が拡径し、既設管の内壁にぴったりと貼り付きます。今は内面となったポリエチレン層は高い気密性を持っていますのでライナー材は既設管内壁に押し付けられながら熱硬化。300mmの場合、施工前7.5mmであったライナー材の厚みが5.7mmまで圧縮します。この圧縮過程でポリエチレンの内面被覆層、含浸フェルト層、ガラス繊維強化マットの外面補強層の3層とエポキシ樹脂が一体化。強固で衛生的な管路を構築します。水の安全を衛生と事故防止の両面から守る管路の仕上がりです。
今回、摸擬施工を行ったチューブテックスR工法の適応管径は150mm~1200mm。施工可能距離は100m~200m。設計内径は0.6MPa~1.9MPa。海外で実績のある工法をRTI JAPAN パイプソリューションズ株式会社(横浜市)が技術導入したもので、管の延長施工や仕切弁、空気弁などの取り付けは既存の継手やゴム輪で行うことができ、反転工法による圧力管更生という斬新さに似合わない汎用性の良さもチューブテックス工法の魅力の一つになっています。
お忙しいところ、関係者の皆様にはお集まりをいただき誠にありがとうございました。圧力管工法協会では、これからも社会問題となっている老朽管路への対策として非開削で新たな圧力管更生工法「チューブテックス工法」にて管路の再生に貢献してまいります。